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講演会レポート

講演会を聴きに行ったアーベルのメンバーが、レポートを寄せてくれました。レポート作成してくれた方、ありがとう! 


2008年3月22日 香山リカさん講演
札幌市青少年センター主催 厚生労働省委託事業(北海道若者サポートステーション)
若者自立支援保護者向けセミナー
不登校NEET・引きこもり  親にできること できないこと

第一部:基調講演

 北海道は、自分の出身地であり、研修医時代などを過ごした親しい地。北大の伝田先生(子どものうつ病などに造詣が深い児童精神医学の先生)など、札幌には理解のある先生が多いように思う。札幌の子どもはラッキー。
 この集いは、公的な機関が不登校などについて企画していて、稀有であり大歓迎。厚生労働省は、若者支援というと、「就業支援」「自立させる」が中心。予算もつける。しかし、それ以前のNEETやひきこもりなどへはまだまだ支援も理解も薄い。
 「自分のせい・親のせい」か?NO。あえて言うなら、時代、社会の問題。
 田舎はひろびろ・自然に囲まれていて不登校などないか?NO。
 日本特有の問題か?日本の独特の家族観、子育て観、甘やかし過ぎか?NO。スウェーデンの引きこもり、英国ではネット心中が流行っている。Online suicide.
 では、なにが悪いのだろう。今、世界ではなにが起こっているのだろう。どういう時代なのだろう。自分が考える原因は、2つほど。
○情報社会
現代の子どもの生活は、都会も田舎も変わらない。朝起きてTVをつけて学校へ行って話すことも、放課後習い事へ行ったり、インターネットに接したり、(やっていること・見えているもの・知っているもの)子どもの心の風景は、北海道でも東京でも大阪でもたいして違いはない。全国共通。それを断ち切るのは現実的でない。ムリ。
そのなかで子どもたちは、いい意味で自分のことを錯覚できない。子ども・若者はどこかで「思い上がる」ことが必要ではないか。それが、情報が均質に溢れていることで「大したことない」と分かってしまう。情報が多いことの悪影響。自分の価値を認められなくなる。「自分ってすごい」と思えなくなる。
○「自分らしさ」へのプレッシャー
「生きがいをもって働ける仕事について自分らしく輝かなきゃ」と思いこみすぎている。つまらない・フツーの仕事に就くことに価値を見出せない流れ。
社会発達の見地から言えば、最終到達目標は「自己実現」。だれもが自分を最大限表現できる仕事で生きがいを持って生きてゆくこと。しかしそれは社会の進歩の究極の結果。
現実は、誰もが好きなことを仕事にしているわけではない。それなりに食べていくために働いている。生きるために。しかし、ただ生きるために働くということが価値がひくいように考えちゃう。
 自分が「大したことない」人間だと、早いうちに分かってしまう。しかし、理想的な仕事・生き方をすることが求められる。こういう世の中でうまく切り抜けていく・やっていくことは、かなりタフ。大変なこと。挫折は当然。この状況は、社会が生んだ必然といえる。個人・親・本人だけでなくみんなで考えようというこのような集まりは、良いこと。
 誰が・どう解決するのか。医療なのか福祉なのか。まだ、当事者がサービスをアレンジする必要がように。どのサービスを利用するのか。外注できることはする。一人で解決しようとしないことは大切。使えるものは何でも使う。
 「子どもをなんとか」する前に親の心の健康を取り戻す息抜きが必要。親が自分のことを大切にする。自分の人生を生きる。親がびくびくしない。親をためすような言動など。子の動静に一喜一憂しないことは大切。態度をブレさせない。長い目で見る。最低でも一ヶ月スパンで。
 心配になるだろう。しかし、「若い」ということは、エネルギーを秘めている。心配する側の大人と彼らの大きな違いが、「彼らは若い」ということ。こんなことを言ってはいけないだろうが、患者を診ていて、あきらめたこともある。しかし、必ずいいい方向へ「裏切られ」た。この子はもうだめだと思っても必ず何かのきっかけで前向きに歩き始める。若いということはすごいパワーをもっている。