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田中康雄さんの分科会で、シロクマの話が出たんですってね

田中康雄さんの分科会に出た友人から、田中先生が『西の魔女が死んだ』(梨木香歩 新潮文庫)から、シロクマの話を引用されたと聞き、嬉しくなりました。以下は、数年前に書いた管理人の日記の丸映し(笑)です。よかったら読んでみてください。おばあさんの言葉が、すごく良いと思います。

2008年8月30日(土)の日記から

続・西魔女
西の魔女が死んだ』のテーマは、結局「自分はどうするのか、どうしたいのか」ということだと思うと前回書きました。自分のことは自分で決める、ということなのですが、では困難に出合った時、まだ大人になっていない子どもたちはどう考えたらよいか、ということについても、おばあさんは語っています。まいは考えた末、ママと共に、単身赴任をしているパパの住む市へ移ることになります。ということは、今まいが孤立している中学から転校するということ。それについてどう感じているか、まいは次のように語ります。

「たとえ転校してあのクラスから抜け出せたにしても、一番根本的な問題は解決しないんだよ。だから、何か素直に喜べないのよね。敵前逃亡みたいで、後ろめたいんだ」

するとおばあさんは次のように言います。

「根本的な問題の解決なんて、まいのような新米の魔女見習いには無理ですよ。この場合の根本的な問題は、クラス全体の不安ですからね。クラスのみんながそれぞれ不安なんですよ」

私は、これは鋭い助言であり指摘だと思います。こういう文章に出会うと、児童文学はすごい!子どもたちのことがわかっているんだなあ、と思います。根本的な解決が無理な時は、ではどうしたら良いかというと、例の有名な言葉へと続きます。

「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。・・・シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」

その後、まいはおばあさんに反論します。


まいも、自分の考えを遠慮せずにおばあさんに言えるようになってきた。また、おばあさんはおばあさんの生き方を選んでいるし、ママは、「オールドファッション」なおばあさんの生き方を選ばなかった。まいはまいで、自分で決めて、転校することにする。おばあさんの生き方がよいとか言っているのではなく、それぞれの女性が自分たちの考えの元に、生き方を選択して行く、というところが、私はこの物語の面白さであり、重要なところだなあと思います。